Column

常に「危機感」持って

元日の天皇杯決勝はツネ(宮本恒靖=現ザルツブルク)のガンバでの最後の試合でもあったし、なんとしても勝ちたかった。試合後、そのまま実家に帰ったが、ずっと負けた悔しさを残したままだった。3日に母校で初蹴(け)りをした。高校生のころに汗水ながした土のグラウンドを昔の友達と一緒に走り回った。そんな心地よい時間を過ごせたことでようやく吹っ切れ、リラックスして休みに入れた。

昨年の正月は、ガンバへの移籍が決まり、これからどうなるのかという不安と、わくわくした気持ちがあった。いろんな感情が入り交じった中で、どこかゆっくりできなかった。いざ、シーズンが始まると周りのレベルが高く、最初のうちは試合にも出られなかった。

「なんで出られへんねや」と思ったこともあったけど、やがて周囲とのコンビが合うようになり、調子が上がると使ってもらえるようになった。西野監督は公平な目で見て決めてくれている。自分のコンディションを作って、プレーの精度を上げれば使ってもらえると信じられたので、そのことだけを考えて練習してきた。

途中から試合に出られるようになり、代表にも呼ばれた。でも、満足する気持ちはない。僕の場合、不安や危機感がなくなったら、満足してしまったら終わりやと思っている。常にそうした気持ちを持っておきたいと思う。

初蹴りの後は2週間ほど休み、そして石垣島で元ガンバで同い年の新井場(鹿島)と一緒に自主トレ。体の基礎を作るためにハードに鍛えて、31日からのガンバのキャンプへと突入する。

今年の目標は、チームが優勝すること。そのために、毎日精いっぱいやるしかない。

毎日新聞夕刊「サッカーマインド」連載
常に「危機感」持って=播戸竜二
2007年01月26日