Column

黄金世代が輝く時代

俺(おれ)が生まれた1979年と80年の早生まれは「黄金世代」と呼ばれている。サッカー界でなぜそう呼ばれるのか。いい選手がいっぱいいるからだ。今のガンバだけでも遠藤、加地、橋本、俺。海外組は高原、稲本、中田浩、小笠原。簡単に名前を挙げただけでもこれだけいる。

黄金世代を初めて体感したのは98年。20歳以下(U20)の日本代表に選ばれた時だ。初めて小野伸二のリフティングを見た時の衝撃を超える経験は、いまだにない。そんな俺たちは歴史に残る偉業を達成した。99年U20ワールドカップ(W杯)で準優勝したのだ。年代別とはいえ世界2位。これは誇れる成績だと思う半面、当然だと思うメンタルの強さが俺たちにはあった。実際、大会が始まる前も、みんなで「優勝しよう!」と冗談ではなく、本気で言っていた。

大会が行われたアフリカ・ナイジェリアの環境は劣悪だったが、このチームには関係なかった。食べられないくらいまずいご飯も食べ、寝られないような環境でも寝た。戦っていくには、それが必要だったからだ。だれが試合に出ようが、だれが点を決めようが関係ない。みんなで戦い、みんなで喜んだ。

あれから8年が過ぎた。今はみんなバラバラになっているけど、きずなは切れていない。キリンカップの日本代表で久しぶりに、高原、稲本、中田浩と再会した。特別な言葉を交わしたわけでもないけど、お互いを分かり合っている空気がそこにはあった。彼らはずっと代表戦士で、俺はずっと彼らを応援してきたと同時に、もう一度一緒にやりたいと思っていた。それが今回、かなった。

今回だけじゃなく、アジア・カップ、2010年W杯。一緒に戦いたい。これからの大会は本当の意味で俺ら黄金世代が中心になっていく。まだ、話には出てきてないけど、みんな心の中ではこう思っているはず……。2010年W杯? 優勝するでしょ!

毎日新聞夕刊「サッカーマインド」連載
黄金世代が輝く時代=播戸竜二
2007年06月08日