Column

求めるものは一つ

昔から優勝というものに縁がない。それはサッカーを始めた少年のころからずっとだ。少年、中学のころはまったくの弱小チームだった。高校時代は優勝まであと一歩というところで、いつも負け続けた。プロになってからは2000年、札幌時代にJ2で優勝した。そして今年のゼロックス。優勝、タイトルといったものはこれだけだ。サッカーを始めて20年がたっているのにたったこれだけ。

だからかもしれない。常に勝利を求めているのは。優勝というのは一つの勝利で決まるものではない。一つ一つの勝利、ひとりひとりのパフォーマンス、一日一日の練習。ほんとに細かい一つ一つのことがなければ優勝には届かない。このコラムを書いているのも、優勝につながる一つなのかもしれない。このコラムを読んで播戸竜二、そしてガンバ大阪を応援しようという気持ちになってくれて、スタジアムに応援に来てくれる人がいるかもしれない。そして、その声援が最後の一歩を後押ししてくれることもあるだろう。そう思うと、毎日サッカーのことに時間を費やすのも楽しくなる。このコラムを書くことも。

すべての人にいろいろな目標があるように、ガンバ大阪、播戸竜二の目標は優勝だ。毎日一つの目標に向かって練習をしてそれを達成できたなら、こんな幸せなことはない。サッカーは団体競技である。みんなで一つのボールを追い、一つのゴールを目指し、一つのタイトルを狙っている。去年は移籍1年目で優勝できなかった。だから今年は絶対にタイトルを取りたい。

首位浦和との差はある。でも、まだまだあきらめない。あきらめるのはいつでもできる。でも、おれたちはあきらめない。最後の最後まで、闘い続ける。そして最後に笑いたい。みんなで抱き合って、みんなで泣いて。そんな日が来るのを信じている。そしてその時、優勝の勝因は?と聞かれて、「サッカーマインドです」と答えたい。

毎日新聞夕刊「サッカーマインド」連載
求めるものは一つ=播戸竜二
2007年10月12日