Column

タイトルをついに獲得した!

11月3日、Jリーグヤマザキナビスコカップ優勝。最高の瞬間だった。俺は経験してないけど、2年前のリベンジの試合でもあった。それに、俺と明神さんにとっては本当に特別な試合だった。06年、俺は神戸から、明神さんは柏から、それぞれJ2に降格したチームから移籍した。二人とも理由はいろいろあったが、タイトルを取りたい、レベルアップしたいという気持ちは同じだった。その年は結局、タイトルは取れなかった。ガンバも連覇を目指し、期待して俺らを獲得してくれたのに、その期待に応えることはできなかった。

加入した直後、境遇が似てることもあり、明神さんと話しをした。お互いに悩みを抱えていたし、問題もたくさんあった。でも、話をし、同じ悩み、問題を抱えてるとわかると、すごく楽になった。そんないろんな気持ちがあったから、終了のホイッスルが鳴った瞬間、俺たちは抱き合った。言葉なんかいらない、いや、言葉では表せられない瞬間だった。それくらい最高の勝利だった。

俺の出番はロスタイムの3分。でもそんなのは関係なかった。その3分間で点を取るつもりだったし、すべてを出し切るつもりだった。試合前の1週間、チームとしても個人としても、いい準備ができた。先発で出て、点を取る準備もできていた。でも、チームには32人の選手がいる。その中でスタメンで出れるのは11人。ベンチメンバーは7人。その他の選手、スタッフ、フロント、サポーター、ガンバに携わったすべての人の力で優勝できた思う。大事なのは個人じゃなくてチーム。チーム力。クラブ力。これが一番の勝因だ。

でも、これで満足はしてない。人間は欲張りな生き物。もっとタイトルを獲得したいし、もっとシャンパンファイトをしたい。

毎日新聞夕刊「サッカーマインド」連載
タイトルをついに獲得した!=播戸竜二
2007年11月9日