Column

Jも天皇杯も残っている

ガンバ大阪が昨年のレッズに続き、アジアチャンピオンになった。決勝の相手、アデレード・ユナイテッドはアントラーズを倒した強豪。第1戦の万博での試合はガンバのやりたいことがすべてできて、3—0の完勝。その3日後すぐにJリーグだった。ここでもしっかり勝てるのが本当に強いチーム。僕たちも全力で戦ったけど、そんなに甘いものではなかった。

そしてACL第2戦。初戦で大勝したことで、世間では優勝間違いなしのムードだった。でも、僕たちにはそんな気持ちはみじんもなかった。ホームではどんなチームも地元の声援を武器に手ごわくなる。少しでも油断があれば3点のリードもひっくり返される。挑戦者の気持ちで乗り込もうと話し合った。

長時間移動だったが、クラブが完ぺきに手続きを行ってくれていたおかげで、何のストレスもなく過ごせた。それはこの大会中すべての試合でそうだった。選手も06年の経験を踏まえ、フィジカル、メンタルとも試合に向けて完ぺきに整えていた。本当にこのチームはファミリーであり、大人のチームだ。一人一人、自分の役割を理解して実行できる選手ばかりで、決勝の大舞台でも、緊張している選手は一人もいなかった。本当にみんなリラックスしていた。

そんな中での試合。前半の早い時間に1点が入り、相手の心は砕け散ったように思えた。僕は後半残り10分というところでの投入。この大会をいい感じで終わらせるためにもゴールが欲しかったが、そんなにうまくいくものではなかった。でも、終了の瞬間をピッチの上で迎えられ、みんなで喜んだ。すべてはこの瞬間のためにやっていると思える、幸せな瞬間だった。

ただ、この喜びに浸り続けるわけにはいかない。まだ、Jリーグ、天皇杯が残っている。そこでいい結果を残して、みんなで喜び合いたい。

毎日新聞夕刊「サッカーマインド」連載
Jも天皇杯も残っている=播戸竜二
2008年11月21日