Interview
Interview:播戸 竜二

ーセレッソ大阪への移籍というチャレンジをした2010年。どんな年になりましたか?

「基本的にサッカーを一生懸命にやり切る、ということについては例年と変わらない1年だったけど、30才を超えての移籍やったからね。ガンバ大阪では同年代も多かったし、最年長ではなかったけど、セレッソでは最年長やった分、最初は自分の役割や責任みたいなものをすごく考えたりもした。かといって、セレッソをJ2からJ1に昇格させた選手、長くチームに貢献してきた選手がいる中で、自分がグイグイ、グイグイ最初からいくのもどうかと思ったりもして…と言いつつ、途中からは考えて仕方がないというか、『もうええわ!いつものままの自分でいよう!』って感じになってんけどね(笑)。でも、結果的にその方が自分の気持ち的にも周囲との関係という部分でも良くなった気がする。」

ー06年の神戸からG大阪への移籍と比べても、心情的に違ったのでは?

「あの時は、本当に優勝するためにガンバ、日本代表に入るためにガンバ、という中で移籍を決断したけど、今回はそこまでの気負いはなかったと思う。ただ、J1に復帰した年に、1年でJ2には落とせないという思いは強かったし、若い選手も多いチームだからこそ、少しは自分の経験を伝えていかなアカンのかな、とは思っていたよね。そういう部分は、これまでのどの移籍とも違う感覚だった。」

ーその中でJ1リーグでは3位の成績をおさめ、ACL出場権を獲得した。原動力になったのは?

「新加入選手がしっかりとフィットしたのもあったし、攻撃も確かに勢いはあったけど、それ以上に、GKも含めて守備が安定したことが大きかったと思う。実際、去年のJ1リーグの戦いをみても上位のチームはどこも守備が安定していたからね。優勝した名古屋はDF闘莉王が入って安定したし、ガンバも途中はなかなか結果が出ない時期もあったけど、最終的にはDFラインが崩れなかったというのが大きかったと思うし。J1最少失点だった鹿島も、その次に失点数が少なかったセレッソも、守備の安定なくしてあの成績はなかったと思うから。そういう意味では、やっぱりサッカーはまず守備の安定がベースやなということを改めて感じたりもした。でもね、今だから言う訳じゃないけど、セレッソに入った時からある程度いいところまでいけるんちゃうかって手応えは感じていたんよね。最初は毎年のようにACLに出場して、上位が当たり前とされていたガンバからセレッソに行って、どのくらいレベルが下がるんやろう?って思いも正直あったよ。でも、初めて練習した日から『結構やるな。そこまでのレベルの違いはないな』って感じていたし、若い選手のポテンシャルの高さにも驚いている自分がいた。それに加え、監督もドッシリしていて、選手を信頼してくれているのが分かったし、当然ながら既存の選手も…真司(香川/ドルトムント)や乾(貴士)も持っているものが違ったから。久しぶりに一緒にプレーしたアキ(家長昭博/マジョルカ)も相変わらずレベルが高かったしね。だからこそ『これは案外、うまくいくんじゃないか』っていう手応えは僕なりに感じていた。」


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