Interview
Interview:清武 弘嗣

ーすでに2試合を戦ったACLはクラブとしても個人としても初挑戦の大会です。いずれも途中からピッチに立ちましたが、リーグ戦とは違う難しさは感じましたか?

「大会に臨む前からACLを経験しているバンさんにいろんな話を聞いたりはしていたけど、実際に体験するとまた違う難しさを感じたというか。ジャッジの基準もその1つです。初戦のホームでのアレマ・インドネシア戦では相手にPKを与えてしまい得点を獲られたんですけど、あの笛も『日本なら故意じゃないからハンドにならないだろうな』って思ったし、アウェイでの山東魯能戦もちょっと接触したらすぐにファウルをとられるという感じで…。誰もが『そこにイライラしちゃいけない』って頭では割り切っていたはずなのに、いざピッチに立つとそうはいかないということが多かった。あとJリーグとは雰囲気や環境が違う中で、どこかふんわり入って、ふんわり試合を終えてしまったというか。試合にメリハリがないなというのは外から見ていても思ったし、実際にピッチに立っても感じました。ただこれも経験だと思いますから。見聞きするだけではなく実際に2試合戦って感じたことをもう一度チームも、個人も考え直して、経験としてしっかり蓄積させていけば、今後の戦いにもプラスに働いていくんじゃないかと思います。」

ー東北太平洋沖地震により今はJリーグが中断しています。その震災直後からC大阪はACLを戦い、今も練習を続けている訳ですが、改めて今、サッカーが出来る喜びを実感することはありますか。

「喜びというか、本当にこうしてサッカーが出来ていることが幸せだなと思います。被災地の方々はサッカーはもちろん、生活するのも大変な状況にあり、そういう映像を見る度に『サッカーをしていてもいいのかな』という気にさせられることもあるのですが、僕らは普段からたくさんの人に支えられ、応援してもらってサッカーをしている訳で…。だからこそ、こういう時には逆に自分たちが必死にプレーする姿を見せることで元気になってもらいたい、という思いは強い。ただこれは今だけじゃダメなんですよね。プロとしてサッカーをする限りは常にそういう気持ちを持ち続けなければいけないし、応援してくれる人たちに喜んでもらえるような選手になりたい。実は、そう思うようになったのはブログを始めたのがきっかけなんです。それまでは正直、プロとしてプレーすることに対して単に自分が一生懸命やるということしか考えていなかったというか。でもブログを通じてたくさんの人から応援メッセージを貰うようになったり、『清武選手のプレーを観て元気になりました』っていうようなメッセージを貰う中で、改めて自分が一人でプレーしている訳ではないということや、自分がたくさんの人に支えられ、応援してもらっているんだということに気がついた。だからこそ、その人たちのためにも今の自分に満足せず、もっともっとガムシャラに気持ちを出してプレーできる選手になっていきたいと思います。」


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